配列の各要素の加算のプロセスを視覚化してみましょう。配列 array
は以下のようになっています:
int[][] array = { {1, 2}, {2, 3, 4} };
この配列を行と列に分けて表すと次のようになります:
[1行目] 1 2
[2行目] 2 3 4
プログラムが合計を計算する際の流れは以下の通りです:
-
最初の行(
i = 0
)を見ると、内側のループはj = 0
から始まります。この行には2つの要素があるので、両方の要素を合計に加えます。-
array[0][0]
の値は1
-
array[0][1]
の値は2
- この時点での合計は
1 + 2 = 3
-
-
次に2行目(
i = 1
)を見ると、内側のループはj = 1
から始まります。この行には3つの要素がありますが、最初の要素array[1][0]
はスキップされます。-
array[1][1]
の値は3
-
array[1][2]
の値は4
- この時点での合計に先ほどの合計
3
を加えると、3 + 3 + 4 = 10
となります。
-
したがって、このプログラムは配列の各行に対して、その行のインデックス(i
)と同じかそれより大きい列インデックス(j
)の要素のみを合計しています。これにより、次の要素が合計されます:
- 1行目から:1, 2
- 2行目から:3, 4(注:2行目の最初の要素(値は2)は
j = i
の条件によりスキップされます)
この説明と数値を基にして、合計が 10
になることが理解いただけたでしょうか。
array[1][0]
がスキップされる理由
array[1][0]
がスキップされる理由は、内側のループの開始条件が int j = i;
となっているためです。これは i
の値がループの開始インデックスとして使用されていることを意味します。各行について、内側のループはその行のインデックス番号 i
の値から開始し、その行の長さまで続きます。
具体的な例として2行目を見てみましょう(i = 1
の場合):
- 配列の2行目は
{2, 3, 4}
です。 - 内側のループは
int j = i;
で開始されるため、j
の初期値は1
です。 - このため、
j = 0
のときの要素array[1][0]
はループの範囲に含まれず、合計には加算されません。 - ループは
array[1][1]
から始まり(j = 1
)、array[1][2]
で終わります(j = 2
)。
この規則に従って、1行目では j
が 0
から始まるため、2つの要素(array[0][0]
と array[0][1]
)が合計に含まれます。2行目では j
が 1
から始まるため、最初の要素はスキップされ、次の2つの要素(array[1][1]
と array[1][2]
)だけが合計に含まれます。
このロジックに基づいて、合計が計算されると、以下の要素が加算されます:
-
array[0][0]
(値は 1) -
array[0][1]
(値は 2) -
array[1][1]
(値は 3) -
array[1][2]
(値は 4)
これらの値を合計すると、1 + 2 + 3 + 4 = 10 となります。
変数 total の値
変数 total の値は、選択された要素の値を足し合わせた数です。このプログラムでは、2次元配列の特定の要素のみが合計に加算されます。
配列とループの条件に基づいて、次の要素が total に加えられます:
最初の行(array[0])からは、array[0][0](値は 1)と array[0][1](値は 2)が加算されます。
二番目の行(array[1])からは、array[1][1](値は 3)と array[1][2](値は 4)が加算されます。ただし、array[1][0](値は 2)はループの開始条件 int j = i; によりスキップされます。
これらの値を合計すると、1 + 2 + 3 + 4 = 10 になり、これが変数 total の最終的な値となります。この値はプログラムの最後にコンソールに出力されます。
total += array[i][j];
という式
total += array[i][j];
という式は、Javaにおける「合計計算」を行うためのものです。この式を分解して説明します:
-
array[i][j]
:-
array
は2次元整数配列です。 -
i
とj
はそれぞれ、配列の行と列のインデックスを表します。 -
array[i][j]
は、配列のi
行目のj
列目にある値を指します。
-
-
total += ...
:-
total
は、これまでの配列要素の合計値を保持する変数です。 -
+=
は、右側の値(この場合はarray[i][j]
)を左側の変数(total
)に加える演算子です。つまり、total = total + array[i][j];
と同じ意味です。
-
したがって、total += array[i][j];
という式は、「配列の i
行目の j
列目にある要素の値を現在の total
の値に加える」という意味になります。
例えば、配列の最初の要素 (array[0][0]
が 1) の場合、total += array[0][0];
は total = total + 1;
と同じで、total
の値が 1 増加します。
プログラムがこの行を何度も実行することで、total
には配列の特定の要素の値が順に加算され、最終的な合計が計算されます。
補足
上記のコードは2次元配列の各要素の合計を計算し、その結果を出力します。配列は{{1, 2}, {2, 3, 4}}
で初期化されており、合計すると1+2+2+3+4 = 12
になります。
次に、A、B、Dの各選択肢を内側のforループに適用した場合を考えます。
- A選択肢:
int j = 0; j < array[i].length; j++
- これはC選択肢と同じで、配列の各要素を正しく合計し、出力は
12
になります。
- これはC選択肢と同じで、配列の各要素を正しく合計し、出力は
- B選択肢:
int j = 0; j < array[j].length; j++
- この条件は実行時にエラーを引き起こします。変数
j
は内側のforループの制御変数であり、そのループの開始時には0
に設定されているため、array[j]
を評価しようとした時にarray[0]
を指すことになります。しかし、i
が1
の時にはarray[1]
の長さをj
で比較しようとするため、実行時エラー(ArrayIndexOutOfBoundsException)が発生します。
- この条件は実行時にエラーを引き起こします。変数
- D選択肢:
int j = i; j < array[j].length; j++
- この条件でも実行時エラーが発生する可能性があります。
i
が1
の時、j
も1
から始まるため、array[1].length
は3
ですが、j
の値が2
になるとarray[2]
を参照しようとし、配列の範囲外を参照するためエラーになります。
- この条件でも実行時エラーが発生する可能性があります。
正しい答えはC選択肢ですが、A選択肢も同じ結果になり、B選択肢とD選択肢は実行時エラーを引き起こす可能性が高いです。
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