近年、プライバシー保護やセキュリティ強化、コンテンツフィルタリングの回避などの理由から、VPN(Virtual Private Network)を利用するケースが増えています。自前でVPNサーバーを立てることで、信頼性やプライバシー、コスト面でのメリットを得ることができます。
ここでは、Googleが支援するJigsaw社によって開発されたオープンソースツール「Outline」を使用して、一般的なLinuxサーバー上にVPNサーバーをセットアップする方法を紹介します。Outlineは、比較的簡潔な手順で安全なプロキシ(VPN)サーバーを構築できることで知られています。
なぜOutlineを使うのか?
- シンプルなセットアップ:Outlineはコマンド一つでインストール・セットアップが可能な自動化ツールを提供しており、初心者でも扱いやすいです。
- マルチプラットフォーム対応:クライアントはWindows、macOS、iOS、Android、Linuxなど幅広くサポートされており、どこからでも接続が可能です。
- セキュアな通信:Shadowsocksプロキシをベースにした暗号化通信を行うため、高度なセキュリティが期待できます。
準備するもの
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Linuxサーバー:
- 一般的なLinuxディストリビューション (Ubuntu, Debian, CentOSなど)でOK。
- パブリックIPアドレスを持つVPSやクラウドサーバーを用いるとよいでしょう。
- メモリ・CPU・ストレージは軽量構成で十分(1GB RAM程度、1 vCPU、10GB程度のストレージなど)。
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サーバーへのアクセス権限:
- SSHでルートもしくはsudo権限を持つユーザーアクセスが必要。
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クライアント側の準備:
- 後ほどOutlineクライアントアプリをインストールするため、接続したいデバイス(PC、スマホ、タブレットなど)が用意できる環境。
インストール手順
1. サーバー環境の初期設定
サーバーにSSHで接続します。以下はUbuntu系の場合の例です。
ssh username@your_server_ip
接続したら、サーバーパッケージの最新化を行います。
sudo apt update && sudo apt upgrade -y
2. Dockerのインストール
Outlineは内部的にDockerコンテナを使用します。そのため、Dockerが必要です。Ubuntu/Debianの場合:
sudo apt install -y apt-transport-https ca-certificates curl software-properties-common
curl -fsSL https://download.docker.com/linux/$(. /etc/os-release; echo "$ID")/gpg | sudo apt-key add -
sudo add-apt-repository "deb [arch=amd64] https://download.docker.com/linux/$(. /etc/os-release; echo "$ID") $(lsb_release -cs) stable"
sudo apt update
sudo apt install -y docker-ce
インストール後、Dockerが正常に動作しているか確認します。
sudo systemctl enable docker
sudo systemctl start docker
sudo docker run hello-world
Hello from Docker!
と出れば成功です。
3. Outlineサーバーのインストールツールをダウンロード
Outline公式サイトのインストールガイドに従い、Linux版のOutline Manager CLI(サーバーインストーラー)を利用します。
curl -sSL https://raw.githubusercontent.com/Jigsaw-Code/outline-server/master/src/server_manager/install_scripts/install_server.sh | sudo bash
上記コマンドは、Outlineサーバーをインストールするためのスクリプトをダウンロードし、実行します。途中でDockerイメージがダウンロードされ、サーバーが設定されます。
4. サーバー管理情報の確認
インストール完了後、ターミナルに「管理用URL (Management URL)」や「アクセスキー (Access Key)」が表示されます。これらは後でクライアントツール(Outline Manager)でサーバーを管理する際に必要となりますので、必ずメモしておきましょう。
5. Outline Managerを使ってサーバーを管理
ローカルのPC(Windows/Mac/Linux)にOutline Managerアプリをインストールします。起動後、「Add a Server」や「サーバーを追加」ボタンを押し、先ほど取得した管理用URLを入力します。
これで、Outline ManagerからVPNサーバーにアクセスし、ユーザー(アクセスキー)を追加したり、接続情報を取得したりすることが可能になります。
6. クライアントアプリのセットアップ
接続したいクライアントデバイス(スマホやPC)にOutline Clientをインストールします。Outline Managerから取得したアクセスキー(接続キー)をクライアントアプリに読み込ませると、VPN接続が可能になります。
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例:
- Outline Clientをインストール
- Managerから取得した「Access Key」をクリップボードコピー
- Clientアプリの「+」ボタンや「Add Server」でキーをペースト
- サーバーが追加されるので「Connect」ボタンで接続開始
接続後、Webブラウザで自分のIPアドレスをチェックすると、サーバーのIPアドレスで通信が行われていることが確認できます。
Outlineを使用すれば、わずか数ステップで安全なVPNサーバー(シャドーソックスプロキシ)を構築できます。自前サーバーによるVPN環境は、商用VPNに比べコントロール性やプライバシー面でのメリットが大きく、簡単な操作で世界中どこからでもセキュアなインターネット接続が可能になります。
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