AIは「便利な会話相手」ではなく、仕事を進める相棒だ — GPT と Gemini の“いま”と実務ユースケース
午前9:02。あなたはSlackに投げられた1時間の会議メモを前に固まっています。
そこへAIにひと言。「要約と決定事項、担当と期限を出して。各担当へ送る1行メッセも。」
30秒後、必要なテキストが整い、あなたは内容を確認して送信。今日いちばん面倒な仕事が、もう片づいています。
この体験を毎日にするのが、いまのGPT/Geminiの使い方です。以下では、人が読んで理解しやすい粒度で「できること」「やり方」「注意点」をまとめます。専門用語は最小限、すべて実務ベースです。
1. AIは「対話するOS」。要は“会話でアプリが動く”
- いまのAI(GPT/Gemini)は、文章を作るだけでなく、 外部のツールやデータ(Drive/GitHub/メール/スプレッドシートなど)に触れて、 小さな作業を計画→実行→検証まで運んでくれます。
- 重要なのは会話。命令文でなくていい。「これ直して」「このログ読んで原因まとめて」。それで動きます。
- キーは “小さな自動化を積み上げる” こと。最初から全部任せない。最初は 1タスク=1成功 を作る。
2. まず“面倒くさい3兄弟”からAIに投げる
2-1. 会議メモの地獄 → 要約・タスク化・ドラフト送信
- AIに渡すのはメモ原文だけ。
- 返してほしい形式を先に指定:「3行要約/決定事項(担当・期限)/各担当への1行メッセ」。
- 仕上げは人の目で最終確認。送付はワンクリック。
投げ込み例(そのまま使えます)
この会議メモを整理して。
- 3行要約 2) 決定事項(担当・期限) 3) TODO箇条書き
- 各担当へ送る1行メッセ ---(メモ貼り付け)---
2-2. 「メールの返事」沼 → AIに“骨組み”を書かせる
- 長文メールは要点抽出→3パターンの返信骨子までAIに。
- あなたはトーンだけ整える(丁寧/カジュアル/強め)。
- 時短ポイント:件名はAI案から選ぶ。本文より先に決めると流れが速い。
2-3. “壊れたテスト”の泥試合 → Gemini/GPTに一次解析を丸投げ
- 「ログ読んで、原因の仮説3つ/影響範囲/修正diff案」を指示。
- まずは検証ブランチでパッチ適用→テスト実行→結果要約までAIに。
- 最終PRは人がレビュー。AIは “状況を整える整備士” として使う。
3. GPT と Gemini、どう使い分ける?
- アイデア出し・要約・文章の骨組み:GPT(会話が滑らか。文案作成が速い)
- ターミナルでの即実行(ログ→修正→テスト):Gemini(CLIで動かすのが得意)
- IDEでのコーディング支援:Copilot(補完・関数提案・小リファクタ)
迷ったら——文章中心=GPT/コマンド中心=Gemini。
その上で、レビューと決裁は人間。ここだけは譲らない。
4. ミニドラマ:「23:40の開発者」 vs 「AIありの開発者」
- AIなし:失敗テストのログを読み、関連ファイルを探し、原因を当たり、眠くなり、翌日に持ち越す。
-
AIあり:
1)「ログ読んで失敗の原因を3つ仮説。影響ファイル/テスト名も」
2)「最有力の仮説に対する最小パッチをdiffで」
3)「検証ブランチ
fix/test-xxx
でテストを回し、結果を3行で」 ——で、 あなたは“判断だけ” に集中できる。0時前に終わる。
5. “読みやすさ”を上げる文章のレシピ(AIにも人にも効く)
- 一文一義:1文は60〜80字まで。接続詞は「しかし/つまり」など短く強く。
- 結果を先に:段落の最初に結論→あとで理由。スクロール中でも伝わる。
- メタ言語で道案内:「次の段落で手順を3つに絞ります」。読者は迷わない。
- 数字で骨を作る:「3手順」「5分」「90%」のように量感を示す。
- 声かけ:段落の最後に小さな問い。「いま手元のメモで試しませんか?」
これらはAIに守らせることもできます。
例:「この文章を“一文一義/結果先出し/数字で骨”のルールでリライトして」
6. “落とし穴”は先回りで潰す(ここだけは真面目に)
- 説得力のある誤り:AIは自信満々で間違えることがある → 根拠の要求(出典か検証手順)。
- 権限の与えすぎ:最初から全データに触らせない → 最小権限→段階拡張。
- 自動化の拡散事故:AIの一括変更でバグが広がる → PRベース+人のレビュー+CI。
- 期待しすぎ:いきなり“全部やって”は無理 → 1タスク=1成功の積み上げで、習熟と信頼を育てる。
7. “今日から”の超具体フロー(コピペで運用開始)
7-1. 会議メモ → 要約&タスク化(5分)
- 上の投げ込み例を使ってドラフト生成
- 人が2点だけ確認:担当と期限
- そのまま送信(テンプレはAIが生成済み)
7-2. メール返信の骨組み(5分)
- メール本文を貼る
- 「要点3つ/返信骨子3案/件名3案/最後に一言の丁寧表現」で依頼
- トーンだけ整えて送る
7-3. 失敗テストの一次解析(15分)
- ログを貼る
- 「仮説3/影響範囲/最小diff」で依頼
- 検証ブランチで試し、結果要約を出させる
- PR化→人がレビュー
8. これからの見取り図(1〜3年)
- “エージェント前提”:生成だけでなく、観測→実行→検証まで一気通貫が標準に。
- “社内データ同期”が当たり前:Drive/BigQuery/GitHub等と安全に連携し、 説明責任(ログ) がセット。
- “使い分けの時代”:万能の1本勝負ではなく、文章はGPT/実行はGemini/IDEはCopilotのように役割で最適化。
9. まとめ:明日のあなたを1つ楽にする
- まずは会議メモ1本で上の投げ込み例を試してください。
- 次にメール1通で骨組み生成→送信まで回す。
- 余力があれば、壊れたテストをAIに一次解析させる。 この3つが回り始めたら、あなたの仕事は “判断と品質” に集中できます。AIは “整える相棒” として、静かに働き続けます。
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