"Scrapbox"とは?
メモ帳でもあり、Evernoteでもあり、Wikiでもあります。
チームのための新しい共有ノート
あらゆる情報をつなげて整理できる次世代の知識共有サービス
https://scrapbox.io/product
ありとあらゆる情報をScrapboxに入れていくことで、Scrapboxは人間の外部脳になりえます。
このページでは、私のScrapboxに対する考え方と使い方を紹介します。
Evernoteはアーカイブのための外部脳
まずは、Evernoteの特徴をあらためて考えてみましょう。
Evernoteは、そのデータ構造として、ノートブックとそれに含まれるノートから構成されています。
つまり、ツリー型のデータ構造です。
ツリー型は、そこで扱うすべての情報に対して、あらかじめ分類がムダなくモレなく決められているような状況に限って、有効なものです。いわばトップダウン型です。
実際の情報の取扱いを考えると、Evernoteは、1つのノートで完結する情報を扱うのに向いていると言えます。
例えば、書類のスキャンやWebクリップといったものです。
一方で、思いつきや連想を扱うような場合は、向いていません。
ノート同期が必要な点も、アイデアの初速を欠いてしまうシーンが少なからずあります。ありました。
これは良い悪いではなく、特徴によるものです。
要は使いどころです。
Evernoteは、私にとっては、Webクリップのための外部脳という位置づけです。
実際、もはやそのような使い方しかしていません。
外部脳がScrapboxだとすると、普段使わないけど保存しておく書庫がEvernote、といったイメージです。
Scrapboxは思考のためのツール
一方の、Scrapbox。
思考するときは、Scrapboxが向いています。
思考は、トップダウン型もボトムアップ型も両方がありますが、Scrapboxではどちらの使い方もできます。
トップダウン型では、まず思考フレームやテンプレートを決めます。そこから思考を発展させていきます。
Scrapboxでは、テキストに[]括弧をつけるだけでそのタイトルをもつ新規ページが瞬時に作成されます。これを使えば、最初のフレーム(インデックス)のページだけ作ることで、空の詳細ページもあわせて作られることになります。
また、ボトムアップ型では、思いついたアイデアや、ふと感じたことが「思考のタネ」になることが多いです。
これらを「構造的に」繋げたり編集したりすることで、1つのまとまった思考に昇華させることができます。
Scraboxは、その「思考のタネ」を扱うのに適したツールであり、そのように作られています。
そのための特徴が、Wiki型のデータ構造とテキストに特化したインタフェースです。
Wikiとリンク
Scrapboxは、Wiki型のデータ構造を持ちます。
キモは、ハイパーリンクです。
ライブ・マークアップエディタはとても強力で、[角カッコ] で文字を囲むだけで、すばやくリンクにしたり、画像や動画として展開することができます。
単語にハイパーリンクを貼ることで、連想的にページの遷移ができます。
ハイパーリンクを付与すれば、リンク先ページは自動的に生成されますが、自分でそのページを編集することもできます。
Scrapboxは、単語のリンクから動的にページ間のつながりを作ります。 つながりができると、関連するトピックが下に表示されるので、アイデアを簡単に整理して探索できるようになります。 ページが年間で数千という量になってもフォルダの構成などに頭を悩ませることはなく、いつまでも管理できます。
さらに、タグ(リンク)に関係するページの一覧も自動的に生成されるのも便利。
ところで、Wiki型の大きな特徴として、データに階層構造がないことが挙げられます。
すべてフラットなネットワーク。すべてのページが同じルールで書ける。だから連想・思考がしやすい。
人間の脳も同じ構造だと思います(根拠なし)。
思考にはスピード感が必要で、ツールにもそれなりのパフォーマンス性能が求められます。
階層の上下運動が発生すると、スピード感が落ちます。ページごとに書き方が変わることも、思考の妨げになります。
フラットであることは、思考のためのツールとして大きなアドバンテージです。
アーカイブのためのEvernoteでは、このスピード感は出せません。
テキストベース
Scrapboxが思考に適する理由のもう1つが、テキスト形式をメインのインタフェースとするところです。
すべてのデータはテキストデータなので他のツールとの連携も自在です。
図解することの有効性は疑いようもありませんが、あくまで図は概要のレベルにしかなりません。
例えば、ものづくりをするとき、設計図を書きます。どれだけ具体的に書いても、書ききれない情報が存在するため、実際に作るときに思考が走ります。
要は、図では思考が完結しないのです。
もう少し厳密にいうと、図解は、他者と情報の共通理解を行う場合と、自分の思考の整理を行う場合、に有効です。
思考は、同時に1つだけが走ります。2つのことを同時に考えることはできません。同時に考えることができているように思えることも、脳はかならず細かい時分割を行っています。
図を書いているときに考えていること、それこそが思考であり、それは線形であるがゆえに、言語化する必要があります。思考そのものを言語で行う必要がある以上、それを外部化(他者と共有)しようとするとテキストで書き起こす必要があります。
Scrapboxは、テキスト表現を重視しており、そのようなインタフェースで作られています。
アイコン
Scrapboxはテキストベースと言いましたが、画像を添付することもできます。
Scrapboxに画像を追加すると、Gyazoへ画像データがアップロードされ、自動的にそのリンクがScrapboxに貼り付けられます。
2つのサービスを同じ企業が開発運営しているから為せる技です。地味にすごいと思います。
さて、貼り付けた画像ですが、普通に画像をみることもできますが、私はアイコンとして使うことをおすすめしたい。
たとえば、AAAというページに画像を添付します。
次に、別のページに、[AAA.icon]というリンクを貼ることで、AAAの画像がテキスト1文字サイズのアイコンとなり、その文章中に追加されるのです。
Scrapboxでは、プロフィール画像でこのような使い方をすることが多いようです。
なぜなら、複数人が同時にページを編集する機能も備えているため、自分が書いたところに自分のアイコンを貼って、署名代わりに使うことができるのです。
あるいは、引用文と自分の意見を区別する使い方なんてのもできます。
この具体例については、記事末尾のリンクを参照。
オンライン
Scrapboxは万能ではありません。
こちらも使い方ですが、オンラインに特化しています。つまりインターネット接続がないと何も出来ません。
一応、オフラインモードも実装されていますが、あんまり使っていないです。
私の使い方
ここからは、私の使い方を簡単に紹介します。
私は、個人的な趣味のプロジェクトを複数もっており、それぞれにScrapboxプロジェクトを作っています。たとえばこんな感じ。
- 読書メモ
- テクノロジー
- 音楽
- 食と酒
- 日記
「日記」のみ非公開設定にし、その他は全て公開しています。
使い方は、「日記」にアイデアメモやブログ下書きなど、思いついたこと、考えたこと、話した相手とその内容、行った店と買ったもの、といった本当にあらゆる情報を可能な限り書きなぐります。
公開プロジェクトには、読んだ本、観た映画、食べたものなど、テーマごとのメモを残します。それぞれ「日記」からリンクを貼っているので、「日記」を見返せば、すべて追跡できるようにしています。
その後、それをもとに例えばこのようにブログ記事として公開することで、その「情報」が完結するわけです。
Markdownとの使い分け
Markdownは、エンジニアとしての仕事をするときに、使っています。
ソースコードのメモがしやすい、UMLが書ける、などの機能があるからです。
一方、ブログや読書などテキストがメインのときは、Scrapboxです。
一応Scrapboxでもコードを書けますが、エンジニアの仕事として使うには弱い。
Evernoteは前述のとおり、Webクリップ(アーカイブ)のためだけに使っています。
まとめ
Scrapboxについて、大まかな説明と私の使い方を紹介しました。
かなり詳しく書いたつもりですが、ツールはどうしても実際に使ってみないと理解しにくいのは事実です。
少しでも気になった方は、まず10ページ書いてみることをおすすめします。
お役立ちリンク
scrapbox-drinkup
Scrapbox開発者が語る最新情報満載のイベント。私も2回ほど参加しました。
Scrapbox Drinkup Self-made Keyboard Edition参加レポート
Scrapboxで勉強会もできるようです
ここだけの話!scrapboxを組織に定着させるコツとは
Scrapbox上で複数人で議論をする場合の、イメージ。
第16回 Scrapbox(1)- 増井ラボノート コロンブス日和
Scrapboxの発明者・増井俊之氏の記事。昔からユーザーインタフェースの研究者だと思って(そうなんですが)注目していたのですが、日本語入力や情報整理の分野でも面白い研究をされています。その延長で(?)、Scrapboxも開発してしまった模様。
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