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Ken Okabe
Ken Okabe

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Manjaroはなぜ人気であり続けたのか?

以下の文章は、かつで自分が出没していた某所(Quora)に書いたものです。
2019年


UbuntuよりもManjaroをおすすめしている理由って何ですか?

僕は最近はなんとなくUbuntuを使うことが多かったのですが、この回答で初めてManjaroの存在を知って、少し気になっているところです。

のA2Aです。

★短い答え

Arch Linuxの血統で毛並みが良い(後述)。

Archの利点である、シンプルな設計で、ローリング・リリースの「常に最新バージョンでシステムが統合される」という特徴を継承しながら、初心者にとって導入が難しいということや、常に最新すぎて安定性を損なうので自己対処スキルが必須というハードルの高さを解消している。

Ubuntuで採用されている固定リリースよりも、継続的な使用感をもたらすローリング・リリースのほうが好まれている。またManjaro掘り下げると、Archのシンプル設計の筋の良さがUbuntuよりも優れているし、その情報は確実にArchのドキュメントに存在している。

★長い答え

Linuxディストリビューション情報サイトのDistroWatch

Put the fun back into computing. Use Linux, BSD.

では、一昔は圧倒的人気であったUbuntu それからMintを軽く抑えてManjaro Linuxが人気です。

Manjaroは、Arch Linuxがベースになっています。

ArchはLinux上級者に人気のディストリビューションで、シンプリシティ、ミニマリズムの設計哲学があります。


Arch Linux は、x86_64 向けに独自に開発された、あらゆる用途に対応できる万能 GNU/Linux ディストリビューションです。その開発は、シンプリシティ、ミニマリズム、およびコードの簡潔性に焦点を当てています。Arch は最小限の基本システムの状態でインストールされ、ユーザー自身が、ユーザーの理想とする環境のために必要なものだけをインストールして構築することができます。GUI の構成設定ツールは公式には提供されず、ほとんどのシステム設定はシェル上でテキストファイルを編集することで行います。Arch はローリングリリースモデルをベースとしており、常に最先端であるように努め、ほとんどのソフトウェアは最新の安定バージョンが提供されます。


原則

シンプルであること

シンプリシティは Arch の開発における絶対的な主たる方針です。多くの GNU/Linux ディストリビューションは自身を「シンプル」だと定義していますが、シンプルであること自身にはいろいろな意味があります。

Arch Linux はシンプリシティを、「不必要な追加、修正、あるいは複雑化を行わない」ことと定義し、ユーザーごとに、必要に応じた軽量な UNIX ライクベースのシステム構築を可能とします。要するに、エレガントで最小主義なアプローチだということです。


これは、たとえばPCの上級者が、市販のPCの規定のスペックや、いろいろ不要な仕様には満足できず、ベアボーンから自由に構成して自作PCにする、というのと同じです。とにかくパーツとマニュアルだけ寄越せと。

それ故、必然的にArchは玄人好みのディストロだし、自作PC同様、初心者にはかなりハードルが高いディストロです。しかし、自分で構成させるので、Wikiが他のディストロを寄せ付けないレベルで充実しています。Ubuntuコミュニティも強力で情報は豊富ですが、細かい設定の情報はArchのほうが上で、実際Linuxで困ったことがあれば、”arch” とキーワードくっつてググると的を得た情報がヒットすることが多いです。

1からパーツを組み立てるので勉強にもなります。かといってソースコードから逐一コンパイルする必要もなく、ちゃんとバイナリベースのパッケージシステムがあり、それがローリングリリースされています。

公式以外にもコミュニティベースのレポジトリは充実しており常に最新にメンテナンスされています。Linuxで使えるアプリでArchで使えなかったアプリは今までにひとつもありませんでした。

Ubuntu=メーカーが販売してるPC 素人向けの情報豊富

Arch = ベアボーンからパーツ組み立てる自作PC 玄人向けの情報豊富

みたいな棲み分けです。

Archは素晴らしいので自分も数年ほどずっと使っていました。しかし、不満も出てきました。

1.ローリングリリースでカーネル含め、あまりにも頻繁に最新バージョンにアップデートするので、更新作業がうっとうしくなる、ちょっとアップデートさぼってたら、カーネル、デスクトップ環境、各種コアライブラリ、軒並み全部アップデートするはめになりしんどい。何よりカーネルもデスクトップ環境もさほど安定してないのを掴まされることはある。

2.インストールはCUIでいいんだけど、さすがに何回も毎度同じ作業をするのはしんどい。

これを解消しているのがManjaroです。

Manjaroのレポジトリーは、Archのレポより1テンポくらい遅く管理されていて、ArchのStableバージョンはManjaroのTestバージョン相当、という具合により慎重で安定したバージョンが提供されており、アップデートもさほど頻繁ではありません。

とにかく足元のカーネルがそんなしょっちゅうアップデートされて安定性も損なったら話にならないわけで、カーネルの安定性が一番重要。

ManjaroのキラーコンテンツはManjaro settings managerで、カーネルのアップデートの状態がわかりやすく、コントロールしやすいことです。

だいたい、一番新しい、LTS+RecommendedのLinuxカーネルをインストールして走らせておけば間違いありませんし、この選択自体ころころ変わるということもありません。

後の使い勝手は、Arch長年使ってたのでよくわかりますが、まったく変わりません。コアシステムの部分は上記のとおりManjaro独自のレポですが、非公式のコミュニティレポはArchと共通なので豊富な資産はそのままということになります。

また、最初からデスクトップ環境とパッケージでGUIインストール環境も提供されているので、初心者への導入ハードルの高さもまったくありません。

あれ、それなら別にUbuntuじゃなくても良くない?ローリングリリースのほうが良いし、ってのが今の流れだと思います。

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